《鳩族は鳩救隊を編成している。ここは嵐山地区にある東公園コロニー。ここのコロニーには100羽くらいの鳩が登録。彼らの任務は地区の環境保護だ。》
「やあ!僕がこのコロニーのリーダー。識別番号は “東公園119”。どっかで聞いたことのある番号?そりゃそうだろう。僕らは鳩救隊だぜ。でも長いから“ホワイトソックス”って呼んでくれたまえ。」
「今、みんなはサイクリングロードの上をきれいにしているところだ。行動するのは家族単位だ。だいたい20羽くらいだね。これは僕の家族たちだ。」
「ここは観光地だから、至る所にパンくずやクッキーや食べ物のカスが落ちてるんだ。僕らは京都の美化に協力してるってっわけ。」
「えっ?何も見えない?ああ、人間様はいつもそう言うんだ。でも、僕らには見えるよ。特に土曜日や日曜日なんか、僕らは渡月橋付近に応援に行くくらいだからね。」
「もしも、僕らが毎日せっせときれいにしないと、どういうことになると思う?想像したことあるかい?ないだろうなあ・・・。」
「えっ?フン公害?ああ、知ってるよ。僕らの糞の問題だろ?・・・」
「そのことはとても悲しいことだよ。昔は僕らも“平和のシンボル”なん言われたこともあったのにね。僕らの仲間も好き好んでそんな町の中に住んでる訳じゃないんだよ。」
「僕らはもともと争いごとが嫌いだから、昔は人間様と共存して生きていたんだ。聖書のノアの箱舟に新大陸を見つけてあげたのも僕らの祖先だからね。それに伝書鳩って言われて、結構人間様の役にも立ってきたんだぜ。」
「僕らはその伝書鳩の子孫で、山鳩やキジバトとは違う種類なんだ。それに僕らは渡り鳥じゃないからね。」
「ほら、これがキジバト。僕らのように集団でいることはないんだ。山に餌がなくなると時々やってくる。」
「町の中に住むのは、もうそこしか住むところがないからだよ。自然が少なくなってるから、僕らの生存権が脅かされているんだ。本当は、この地球は人間様のものじゃないよね?僕らみんなのものだよね?タヌキやイタチやリスやイノシシやそのほか沢山の動物たちの、そして人間様も。」
「僕らはこうして公園を毎日きれいにしながら、話し合ってるんだ。僕らにも君たちのようなマンションがあったらいいのになあって。まあ、僕らには生きるための生存圏、ナワバリってのがあるから、出来れば、あちこちの自然の中に不自由なく暮らせる家があったらなあって。」
「僕らが毎日首を振り振りしながら、一生懸命掃除している努力だけは認めてもらいたいんだ。」