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②-植物の正体

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植物の驚異的な生態

1. 植物の記憶力

オジギソウ

昔、もう60年以上も前のこと、私が幼かった頃、この不思議な植物の葉っぱでよく遊んだものだ。指で触れると急いで葉を閉じてしまう。面白くて何度も触れているうちに閉じなくなってしまった。病気になってしまったのかと思い、触れることをやめてしまった。

しかし、200年以上も前にこのオジギソウの不思議に取り組んでいた科学者がイギリスに居たらしい。アメリカからヨーロッパに持ち込まれたオジギソウに西欧の科学者たちは夢中になり、パリの街路樹で馬車を使った大々的な実験まで行われた。

どうやらオジギソウは馬車の振動に慣れてしまったらしい。私が幼児期に経験したことと同じだ。【植物は情報を記憶する】という事を究明したという事になるにもかかわらず、この素晴らしい出来事はやがて忘れ去られてしまった。

2013年、著者を含む植物学者がこのパリの実験の再現を試みた。さすがにもっと緻密な実験だ。オジギソウを植えた鉢と装置を用意する。

  1. 鉢を10㎝の高さから繰り返し落下させる。⇒7~8回で葉は閉じなくなった。
  2. 同じ鉢を今度は違う刺激の水平方向に揺さぶる。⇒すぐに葉を閉じた。・・・・1と2の実験から「過去の経験を記憶する」ことが分かった。
  3. この記憶がどのくらい持続するのかを試した。⇒驚いたことに40日以上も記憶が保たれ。・・・この記憶保持時間は昆虫よりもはるかに長く、高等動物の記憶時間に匹敵するそうだ。

《 脳がないのになぜ記憶できる? 》

★ カギを握る COOLAIR (クールエア)

水仙の開花時期は3月
ねむの木の開花時期は6月

 

 

 

 

 

 

桂川河岸には春になると沢山の花々が咲き乱れる。もちろんそんなことはこの地域に限ったことではなく、春は世界中の植物たちが美しさを競う時期だ。

その開花のタイミングをコントロールしているのが、COOLAIRと呼ばれるRNAの塩基配列にあるらしい。

予想以上の厳冬、思いもしなかった暖冬、変動の激しい気候にうまく反応し、開花の時期をコントロールする。この事は植物の生存にとっては最も大事なことなのだ。生命の(タネ)種をたくさん残す事は、動物が子孫を残す作業と同じで、最も大切な仕事だ。

しかし、植物は目も鼻も耳も脳もないのに、どのようにしてそのタイミングを計っているのか?

どうやら植物の体内では、頻繫に遺伝子発現の変化が起こり、エピジェネティックな修飾を通して、個々の細胞に記憶されているらしいということが分かって来た。

この「細胞に記憶されるシステム」はまだ充分に解明されていないが、もしもこれが解明されるようになったら、「記憶」が脳内の神経系だけに限らないという事にもなる可能性がある。

2.植物はコロニー

《 岩をも砕く根端の秘密 》

マングローブの根
気根
水耕栽培の根
サツマイモの塊根
1が根端分裂組織、2が根冠

 

 

 

 

 

(以上の写真は全てWikipedia より引用)

★ 1本の小麦が持つ根毛の長さは20㎞。

★ 根の細胞が分裂し膨張する。その時の圧力は1~3メガパスカル。1メガパスカル(㎫)は1.000.000パスカル(㎩)=1㎠の面積に約10㎏の力がかかった時のようなもの。ようするに根の先端部分の細胞 1㎠ が 10㎏~30㎏ の圧力を岩やアスファルトなどに加わえている、という事だ。驚異的だ!

《植物は“単体”ではなく複数の個体からなる“集合体”》

★ 「動物の場合は『分割する』ということが、概して殺すことを意味するが、植物の場合は、増やすことを意味する。」・・・これは、『昆虫記』で有名なファーブルの言葉だ。彼は植物学者でもあった。

★ 「一つの植物の節から生えている枝は、母親の身体に繋がっている個別の幼い植物とみなすことができる。この幼い植物は、母親が地面に固定されているのと同じように、母親の身体の上に固定されているのである。」・・・これは『若きウエルテルの悩み』で有名な文豪ゲーテの言葉だ。彼はたくさんの業績を残した自然科学者でもあったのだ!

★ 「一本の樹木のどの芽も個別の植物である。つまり、一本の樹木は個々の植物が集まった一世帯の家族なのだ。」・・・なんと、これはダーウィンの祖父エラズマス・ダーウィンがゲーテを支持して1800年に言った言葉だそうだ。

★ 「単なる個体同士で結合できるのは驚きかも知れないが、樹木がそのことを裏付けてくれる。つまり、木の芽は個別の樹木とみなされるべきである。サンゴ内のポリプや一本の樹木の芽は、個体の分離が不完全になされている例だと考えてみよう。」・・・これが、孫のチャールズ・ダーウィンが1839年に祖父の言葉に追加した論文だ。

★ 「植物、特に樹木をみる限り、動物や人間のような単一の個体であるとはどうしても思えない。むしろ、複数の個体からなる一つの集合体のように見える。」・・・1855年、ドイツの植物学者アレクサンダー・ブラウンの言葉だそうだ。

驚くべきことに、200年以上も前から“植物はコロニー”であると、今では世界中の誰もが知っているあの巨匠たる科学者たちが、皆口をそろえて主張していたのだ!何故この理論が無視され続けてきたのだろう!

サンゴ
京都府立植物園の柳の巨木

 

 

 

 

 

 

 

コロニーはその構成員よりも長生きする。サンゴの一つのポリプはわずか数か月しか生きられないが、ポリプによって構成されるサンゴは、潜在的に「不死」である。樹木はサンゴに似て、構成するそれぞれのユニットは短命だが、コロニー(樹木)自体は、永久に生き続けることができる、と著者は語る。

全く、その通りだ!目から鱗が落ちるような思いだ!これまでそんな思いで植物を眺めたことは一度もなかった。

 

 

 

植物革命
2019-11-01 lucy.in.the.sky

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