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『サピエンス全史』

未来への先導者 ユヴァル・ノア・ハラリ

ペルー・ㇳケパラ洞窟壁画(年代不明)

 

スペイン・アルタミラ洞窟壁画(1万8000年前)

21世紀を境に、世界では「世界史」「人類史」の書物が大量に出版され始めた。新しい世紀を迎えるにあたり、これからの100年はどうなるのか気になるのは世界中の人々の関心事になった。

その出版された大量の「世界史」だが、“ヨーロッパを中心に世界が回っている”という西欧史観の強い歴史書ばかりが目立った。その他の大陸には歴史はなかったかのように。

そんな傾向を物凄いエネルギーを抱えて打ち破ってくれたのが、かの有名な『サピエンス全史』だ。

『サピエンス全史』の功績

『サピエンス全史』=『SAPIENS : A Brief History of  Humankind』=(サピエンス:人類史の要約) は2011年にイスラエルの若い歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリによって書かれた。あっという間に世界40ヵ国以上の国でベストセラーとなり、たちまち彼は「人類の未来」についての議論を巻き起こす先導者となった。日本で邦訳され発売されたのは2016年で、日本人は世界から5年出遅れた。

『サピエンス全史』 上下巻 河出書房新社

ユヴァル・ノア・ハラリは実はジャレド・ダイアモンド博士に強い影響を受けている。西欧史観に最初のクサビを打ったのがダイアモンド博士だった。ダイアモンド博士は「ヨーロッパ文明が発達したのはヨーロッパ人が頭が良かったからではなく、大陸が横に広かったからだ。」と主張して西欧史観の人種差別的な傾向にクサビを打った最初の人だった。

ダイアモンド博士は進化生物学や地理学的な方向から「人類学」(『銃・病原菌・鉄』2000年著、『文明崩壊』2005年著)を発表したが、ユヴァル・ノア・ハラリは歴史学や哲学的方向から、独創的な「人類史観」を打ち立てた。

私は彼の独創的な発想にも衝撃を受けたが、それ以上に世界中の人々が彼を受け入れたことに感動した。彼は既に世界中から熱い視線を浴びるようになっており、世界中のあらゆる場所で講演を行っていた。魅力的なハラリ氏は世界中の人気者になっていた。

『サピエンス全史』の独創的な造語

  • 認知革命(Cognitive Revolution):7万年~3万年前にかけてホモ・サピエンスの脳内に突如起こった新しい思考方法と意思疎通の方法の登場の事。(研究者間では既にこの用語はあったようだ・・。)伝説、神話、宗教は認知革命によって初めて出現した。
  • 虚構を操る言葉(fictive language) : 「架空」とも訳すが、やはり「虚構」の方がピッタリかもしれない。(訳者はとても苦労されただろう・・。)認知革命のもととなったホモ・サピエンスの言葉の事。言語が豊富となり、意思疎通が可能となり、「噂話」で高度な会話が発展する。
  • 想像された秩序と現実(imagined order/reality) :  虚構の言葉が集団の中で共有されるようになると、それが秩序となり現実となった。神、魔物、お金、会社、国、法律、人権等々は想像上の秩序と現実である、という事。

これは、『サピエンス全史』上巻の第一部のわずか50ページ内で展開される『造語』だ。これが下巻まで続く。私達はこれまでとは全く違う発想の歴史書を手にしたのだ。彼はまるで宇宙から数億年単位で俯瞰していたかのように、人類史そのものを書き上げたのだ。世界中の誰もが「そういうことだったのかもしれない」と腑に落ちた瞬間だっただろう。そして誰もが「人類」についてより深く考えるようになった。

『ホモ・デウス』は人類への警告

Homo Deus DVD BOOK
『ホモ・デウス』上下巻

『サピエンス全史』に感動した世界中の人々があまりにも声高に「人類の未来はどうなる?」と尋ねるので、ハラリ氏は続編を書く羽目になった。が、本人は初めからそのつもりではいたらしい。そして2015年に書き上げたのが『ホモ・デウス』=『HOMO・DEUS:A Brief History of Tomorrow』(ホモ・デウス:将来史の要約)、日本では2018年9月に出版された。(ここでも3年間出遅れた。)デウスは神、tomorrow は明日、もう始まっている将来、という含みを持っている。

『ホモ・デウス』の功績

『ホモ・デウス』は『サピエンス全史』以上にショッキングな内容だった。世界中の人々がその内容に震撼した。震え上がり、恐れおののいた。本当は過去の歴史なんてどうでもいい。一番気になっているのは、自分達の将来だ。そこには、ホモ・サピエンス・サピエンスがさらに進化し、ホモ・デウスという新たな種にテクノロジーによってアップグレードされた姿があった。

いよいよ世界中の人々は真剣に考え始めた。自分の未来、子供たちの未来、そしてこの地球のこと。恐ろしい勢いで人々の労働市場を奪っていくAI(人工知能)、世界を制覇し、すっかり塗り替えようとしているバイオテクノロジー産業。

『ホモ・デウス』の独創的な造語

  • 無用者階級の誕生:AI によって労働市場は奪われ、新しい巨大な非労働者階級が誕生するという事。無用者階級は失業しているだけではなく、雇用不能な階級となる。
  • アップグレードされた上流階級:ナノテクノロジー、バイオテクノロジーによる医学の進歩は一部の富豪をアップグレードさせる。彼等は健康で死なない人種となり社会の残りの人々との間に、身体的能力と認知的能力の本物の格差が生じてくる。
  • テクノ宗教:テクノロジーを崇拝する宗教が生まれ、意識を持たないAI を支配するために、テクノロジーを利用して自らを心身ともにアップグレードさせるテクノ人間が誕生する。テクノ人間は宇宙支配を目指す。

なにか絵空事のように聞こえるかもしれないが、これは現実に進行している出来事に根拠を置いているのだ。ハラリ氏には、世界中に助言者、資料提供者がいて、膨大な資料をもとに書き続けてきた。彼の本を読むと膨大なデータが背景にあることがすぐにわかる。そして一般庶民の目には届いていない隠された現実も良く見えてくるのだ。

『ホモ・デウス』は大いなる挑発だ。「今こそ人類は立ち止まってよく考えるべきだ」とハラリ氏は言っている。

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