1.美しい身体になったホモ・サピエンス
♥ホモ・サピエンスの肢体はまるでサバンナを駆ける獣のよう!
背が高くて、細くて、しなやかで、目が大きくて、まるでキリンのようだ!それに、我々の身のこなし、アスリートと呼ばれる仲間達の速さ、力強さはまるでチーターのようだ。
しかし、毛むくじゃらのルーシーにはつるつるとした我々の身体は奇妙に見えるに違いない。たとえば、こんなふうに・・。
2.退化した能力は進化のせい?

♣ヒト属は進化の過程でいくつか失った能力がある。
しっぽ、虫垂(盲腸)、親知らず、それに体毛。そして筋肉。なぜそうなったのかは、はっきりとはまだ分かっていない。
脳はこの3万年で一割も縮小している。より精密になり進化の結果ではないかという説もある。前頭葉が巨大化したのだ。判断力、理解力、計画性などを司る脳の中枢の箇所だ。だからホモ・サピエンス・サピエンスは高度な文明を築けた、ということになっている。
聴覚、嗅覚、視覚、味覚、触覚について、科学者はより進化したと言う人がいるが、私が疑問に思うのはそこだ。我々の五感はとても退化したように思える。
♣我々は❝森の声❞が聞こえなくなった?
視力は明らかに落ちている。暗闇では殆ど見えなくなってしまった。そして聴力もそうだ。300万年前のルーシーには聞こえていたであろう森の木々達の会話が聞こえていないのだ。
地球を4億年支えてきた植物は我々よりもずっと長い歴史を持っている。彼らは独自の技術でシグナルを発し生命を維持している。群生してお互いを助け合ったり、痛みを感じることもできる。動物たちも数億年に渡って、植物の知恵に守られ繁殖してきた。人類の母ルーシーはこのことをよく知っている筈だ。
キリンの好きなアカシアの木の話は知っているだろうか?アカシアの木はトゲだらけで、キリンだけが食べるのを許されている。それでも食べ過ぎると葉っぱが毒を出す為に、決して食べ過ぎないようにしている。
最近になって、ようやく世界中の植物学者が「植物の知恵」について立証し始めた。ようやく我々は過去の記憶を取り戻そうとしている。科学の進歩のお陰で、より緻密な証明ができるようになった。
♣ホモ・サピエンス・サピエンスは歩かなくなった?
我々が発明した乗り物は、全部歩くのをやめたい、という乗り物なのだ。なるべく遠くまで、なるべく早く、が大好きだ。そのおかげで、世界が近くなった。ルーシーの時代には、何年もかけて何千キロ、何万キロも歩いたのだろうが・・・。
ルーシー達が鍛えてくれたこの両足のお陰で、今のホモ・サピエンス・サピエンスがある。しかし、歩かなくなったホモ・サピエンス・サピエンスはいつかは両足を必要としなくなるのではないだろうか?
以上が、ルーシーが我々に抱いたであろう最初の印象だ。人類の母としては、とても誇らしい気持ちにもなったかもしれないが、同時に大きな不安も抱くようになった筈だ。恐竜が繫栄した1億年間に比べると300万年間はあっという間の時間。その間の肉体の変化はあまりないだろうが・・・ホモ・サピエンス・サピエンスはとても大切なことをどこかに置き忘れて来てしまったかもしれない・・・。