これは京都の桂川に生きる動物たちの物語である。
「やあ!僕は桂川コロニーのリーダーだ。僕の名前?勝手につけてくれたまえ。」
《人間とは切っても切れない歴史》
少し僕らの事を説明するね。
僕は川鵜(カワウ)だけど、海鵜(ウミウ)ってのもいるんだ。よく「鵜飼」でヒーローになってる仲間の事さ。ウミウは僕らよりは少し身体が大きいんだ。

「鵜飼」はいろんな地域でやってるよね。これは宇治川の鵜飼の写真だ。一番有名なのが長良川の鵜飼いかなあ。この近くの嵐山でもやってるよ。
「鵜飼」は「日本書紀」に出てくるんだ。日本では「日本書紀」以前の500年ころから始まったっていう説もあるよ。

これが宇治川で働くウミウ達だよ。人工孵化してるんだってさ。自由が奪われて気の毒だけど、それが運命ってものさ。宇治川の鵜匠(うしょう)は綺麗なお姉さんだよ。それはうらやましいさ!
《どうして鵜が鵜飼をすることになった?》
それはね、僕ら「鵜」っていう種族は争いごとが嫌いな鳥だからだよ。僕ら、協調性が強いんだ。ケンカなんか殆どしないよ。
ほら、オオバンも寄って来るし、コガモも寄って来る。昔の人間は僕らの性格を良く見抜いてたんだね。
僕らが中州で羽を乾かしていると、ほら直ぐにコサギが集まってくるんだ。
僕らがどこにいるか分かるかい?
ほら、いるだろ?水の中に!
コサギのために小魚を水底から追い出してやってるのさ。本当にコサギはきれいなだけが取り柄で世話の焼ける奴らなんだ。
だから、だいたいがいつも一緒にいるってわけさ。まっ、優しいし、ダンスも上手だから一緒に居ても楽しいけどね。
《コロニーで生きる鳥》
僕らは生き残るための武器を持っていない。水の中に潜ることは出来るけど、長い時間は無理だ。カワウよりウミウの方が深く潜れるよ。でもたかが知れてる。だから集団になっていつもみんなといるんだ。そうしないと猛禽類が襲ってきた時に助かる確率が高くなる。僕ら種族が絶滅しないための知恵さ。
集団は多い方がいい!