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遺伝子は、変えられる。 あなたの人生を根本から変えるエピジェネティクスの真実 [ シャロン・モアレム ]

価格:1,944円
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感想(2件)

この本には沢山の病名、遺伝子番号、遺伝子の働き、化学物質名などが出てきますが、そのまま転載します。この本は、今世界中の人々が心酔している「遺伝子」というものに、正しい判断が下せるようなヒントを与えてくれる本です。(それぞれの着色は分かりやすくするために私が施したものであり、青色の文章は私の感想です。)

第4章 たった1個の書き間違い、ほんの少しの環境の違い

―骨折だらけの女の子と全身骨化した男性が人類に残した贈り物―

《骨折だらけの3歳の女の子グレース》

リズとディヴィッドには子供ができなかったが、二人とも時間をキャリアに費やし人生に満足していた。そのうち、世界中に親を必要としている子供達がいることを知り、中国の孤児院にいる少女たちの死亡率が悲劇的に高いことを知った時、リズは自分たちがすべきことを悟った。

二人は写真を見て一目で気に入り、その女の子にグレースと名付けた。グレースは先天性股関節形成不全症という病気を抱えていたが、北米に到着したら容易に治療ができるだろうと確信していた。

グレースは股関節ギブスをしていたが、アメリカに連れて帰ってすぐに小児科医の所でそのギブスを外すことができた。しかし、グレースの腰と両足は痩せこけており、ギブスを外して24時間も経たないうちに、左大腿骨と右脛骨が折れてしまった。

そして再びギブスをはめてから数か月後、ついにギブスを外すことができたグレースは母親リズの腕に抱かれて買い物に出かけた。リズの腕の中で品物を指差し体をひねったグレースは「まるで銃声みたいな音」をたてて再び脚を折ってしまった。

先天性股関節形成不全症以上のことがグレースに生じていることは僕の(著者)目には明らかだった。その答えは彼女の目にあった。人間の目は、眼球の強膜(いわゆる白目)が露出していることに特徴がある。

グレースの強膜は白くなく、青みがかっていた。そのことと骨折の経歴を合わせると、何らかの骨形成不全症(OⅠ)を患っていることが推察された。これは遺伝的な欠陥があるために、健康で強い骨を作るために欠かせないコラーゲンの生成が抑制されたり、その品質が低下してしまったりする疾患である。彼女の骨をあれ程までにもろくしていたコラーゲンの欠如は、彼女の強膜も青みがかったものにしていたのだ。

そして彼女の歯を見た僕は推察が正しいことを確信した。彼女の歯は、同じくコラーゲンの欠如により、半透明になっていたからだ。

ついこの前まで、いわゆる「非致死性骨形成不全症」と呼ばれる症状を治療する手段は殆どなかった。しかし今は、薬剤と理学療法と医療技術の適切な組み合わせが分かれば真の効果を得ることができる。こうしたツールと、彼女自身の勇気と忍耐力、そして両親の献身が一体になって、グレースは小さくて虚弱な幼児から、タフで冒険好きな少女に成長した。

《体中が骨になっていく―「ストーンマン症候群」の意外な発見法》

近頃では、ヒトの骨格系が、その人の無分別な行動に厳しい措置で臨む場合があることも分かって来た。

これは遺伝子変異の場合も同じだ。幼い少女アリー・マッキーンは内皮細胞(血管の内膜にある細胞)が骨芽細胞に代わってしまうという稀な遺伝病を抱えている。時折「ストーンマン症候群」とも呼ばれることのあるこの遺伝子疾患「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」の最も有名な例は、ハリー・イーストラックという名の男性だろう。5歳の時から身体が硬化し、39歳で他界した時には完全に体が固まってしまい、動かせるのは唇だけだった。

過去数年間、FOPの研究者は、FOPの原因はACVR1(エイシ―ヴィーアール・ワン)と呼ばれる遺伝子の突然変異であるという発見に沸いた。この突然変異の一部が、ACVR1遺伝子にタンパク質のスイッチを作らせ、それが常にオン状態になる。こうして、本来必要な時に必要な場所でだけ骨が成長すべきところなのに、骨の成長プロセスが暴走してしまうのだ。

《たった1個の文字の書き間違いが、骨も人生も変える》

ヒトの遺伝子コードは、数十億個のヌクレオチドからなり、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、グアニン(G)が、非常に特徴あるパターンで並んでいる。

さて、通常体内でコラーゲンを構築するためにコードされている部位では、遺伝情報はCOL1A1(コル・ワン・エイ・ワン)として知られる対応遺伝子内で、ふつうつぎのような形で並んでいる。

GAATCC―CCT―GGT

しかし、たった1個のランダムな突然変異が、次のように遺伝情報を変えてしまう場合がある。

GAATCC―CCT―TGT

これだけで、コラーゲンを生成する方法が変わってしまうのだ。遺伝情報の中の文字が1個置き換わっただけで、強く柔軟な骨格ではなく、大理石のように柔軟性のない骨、あるいは砂岩のようにもろい骨になってしまう。

【この章で取り上げなかった他の項目】

  • 生物学上の金言「使わなければダメになる」

  • 青い白目と半透明の歯―グレースの本当の病

  • 遺伝子が課す運命を乗り越えるために大事なこと

  • 造骨という「骨の折れる仕事」

  • ぼくらの柔軟なガイコツ―「大きな左肩の骨」の水兵と、外反母趾

  • あお向け寝推奨キャンペーンが生んだ「頭蓋変形矯正ヘルメット」

  • ダビデ像がかかった「かかとの病」、そしてコラーゲン

  • 宇宙飛行士と骨粗しょう症とグレースの意外な共通点

  • 無名のヒロインからの贈り物

第5章に続く

『遺伝子は変えられる』から
2019-02-19 lucy.in.the.sky

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