これは京都・桂川に生きる動物たちの物語である。
脅かされる王者

『 やあ!こんにちは!僕はこの桂川に住むトビ。名前はない。』

『 僕の寝床は公園のヒマラヤ杉のてっぺんさ。』

『 ここでは僕が王者だ。どうだい?王者にふさわしい住まいだろう? 』

『 毎日優雅に暮らしてるんだけど、一つだけ嫌なことがある。聞いてくれるかい?』


『 こいつらだよ。ホントは面白い奴らなんだが、しつっこいし、気が強いし、妥協ということを知らないのが欠点。先日、ちょっとした事件があったよ。参ったよ!』

『 川べりからおいしそうな匂いがするから行ってみたんだ。そしたら突然あいつらが襲ってきたんだ!』

『 知ってたさ。落ちてると思った野ネズミのハラワタはこいつらの食いかけだった。僕にだって王者の意地がある。根こそぎ食ってやろうとしたら、あいつらときたら!』

『 僕を羽交い絞めにしたんだぜ!』

『 まあ、一瞬だけどね。驚いたよ!』

『 一口は食ったぜ。全く協調性というものがないんだ。みんなで分け合って食べてもいいと思わないか?この桂川に住む鳥たちはみんな仲間なんだ。全く辟易するぜ。』