これは京都の桂川に生きる動物たちの物語である。
僕はまだ幼鳥
「やあ、久しぶりだね。また会ったね!」
「僕のこと、忘れちゃったのかい?2年前の秋にも僕を撮ってくれたじゃないか。」
「そう、そう。それだよ!」
「僕はあの年の春に生まれた幼鳥だよ。思い出したかい?」
成鳥になるまで3年
「僕らが一人前になるには3年かかるんだ。まだ若いから羽もきれいだろう?」
「ほら、母さんが心配してやってきたでしょ?いつも遠くから見守ってくれているんだ。」
「もう1月も終わるから、今日は暖かくて気持ちがいいね。毛づくろいも力が入るよ。」
「僕の将来?そんなこと分かりきってるよ。僕はずーっとこの嵐山で暮らすんだ。僕らの寿命は40年くらいだよ。結構長いだろ?」
「何故ここがいいのかって?だってほら、今あそこにネズミが見えたよ。食料が豊富だってことさ。まっ、僕らは生きた獲物は滅多につかまえないけどね。そこが他の猛禽類と違うとこさ。それに、何と言ってもここの上昇気流が最高なんだ。僕らにとっては風が一番大事なんだよ。」
「そりゃあ、うるさいカラスはいるけど・・カラスには気を付けるんだぞって父さんからも撃退法を教えてもらったけど。」
「僕らはケンカは嫌いさ。僕らは小鳥たちを追いかけたり、食べたりはしないからね。カラスとはね、食べ物が一緒だから、取り合いになることが多いんだ。でも、気にしないさ。」
「僕らは争いごとが嫌いな平和主義者なんだ。君たちと一緒だよ。そうだろう?君たちもそうだよね?」
「さあ、そろそろ食べ物を探しに行こうかな。じゃあね!」