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永州八記 ③―鈷鉧潭西小邱記

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地図:鈷鉧潭と川をはさんで小丘がある。
写真:若干修正している。渓谷の整備工事の際の写真なので工事車両が写っていた。あまりにも情緒がないので消してしまった。川の右側に突き出ている所の下あたりが鈷鉧潭だ。その向かい側に小さな丘がある。柳宗元が実際に見た景色とは大いに違ってしまっているようだが。

『鈷鉧潭西小邱記』【こぼたん西しょうきゅうの記】

西山を見つけてから八日ののち、西山の入り口から西北に伸びる道を二百歩行った所、また鈷鉧潭の西に二十五歩行った所に、急流に当たって深くなり魚を捕まえる梁(やな)のようになっている場所がある。

梁のほとりには丘があって、竹や樹木が生えている。そこにある岩は怒ったように突き出ていたり、偉そうに横になっていたり、土を背負って出っ張っていたり、奇妙な形をした岩が争うようにそびえており、殆ど数えることができない程ある。

中でも、山が高くそびえるように重なり合い下に向かっている岩は、まるで牛馬が谷川で水を飲んでいるようであり、また突き上げるように角を並べて上がっているような岩は、熊やヒグマが山を登っているように見えるのである。

湘水の岸辺に見られる奇岩

丘は小さくて一畝にも満たないのに、これ等のもの全てひっくるめて所有することができるのである。この丘の主を尋ねると、唐という人でこの土地は捨てたようなもので、売りに出しても売れないのだとのこと。値段を尋ねると、ただの四百文にすぎないと言う。私は気の毒に思ってこれを買った。

李深源や元克己も時には一緒に遊んでいたので、皆意外なことが起きて大いに喜んだ。早速あらためて道具を取り寄せ、茂った草を刈り取り、悪木は切って片付け、火を燃やしてこれ等を焼いた。すると、立派な木が目立ち、美しい竹も現れ、面白い岩も出てきた。

丘の中ほどから眺めてみると、山の高い様、雲が浮かんでいる様、谷川の水が流れる様、鳥や獣や魚が豪遊する様、皆が喜び笑い楽しみながら腕前を披露したり、ワザを捧げたりとこの丘のもとに集まって見せてくれる。

枕して横になれば、清くすがすがしい景色はこの目と一つになり、さらさらと水の流れる音はこの耳と一つになり、悠然とした天空のような丘はこの精神と一つになり、ひっそりとして静かに深く水をたたえる淵はこの心と一つになる。

私は十日も経たずにこのような珍しい土地を二か所も手に入れた。古来の物好きな人物でも、こんなことは出来なかっただろう。

ああ!この丘の優れた景色は、長安の近くの澧(ほ)・鎬(こう)・鄠(こ)・杜(と)の川が流れる土地に持って行ったなら、貴族の遊び人は先を争って買う者が出て、日増しに千金の値が付き、ますます手に入れることが出来なくなるだろう。

今はこの永州に捨てられているために、農夫や漁師たちも通り過ぎてこれはつまらない土地であるからと、値段は四百文でもずっと売れずに、しかし私と深源と克己だけがこれを手に入れることが出来て喜んでいるのである。これこそ巡り合わせというものであろう。私が石に記すのは、この丘との巡り合わせを祝うためである。

《柳宗元の真骨頂》

記録ごとに柳宗元の表現力が豊かになっていくのが分かる。私はこの文章を読んで以来、岩の多い渓谷や山道を歩くと「牛馬が水を飲む様子」や「熊が登ろうとしている様子」などの奇岩を思わず探すようになった。

 

 

 

 

次の ④―『至小邱西小石潭記』につづく。

柳宗元ー永州八記
2019-02-28 lucy.in.the.sky

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