これは京都の桂川に生きる動物たちの物語である。
僕らカラスは哲学者
「僕たちがいつも一人でいるわけ?」
「それはね。別に孤独が好きってわけじゃないよ。いつも何かを考えていたいからさ。僕らは考えることが大好きなんだ。だからいつもひとりでいるんだな。」
不可解なのは人間
「人間ってのは、食い物に困らない種族みたいだ。道にいろんな物を落としていく。」
「そして、いつも何かに追いかけられているように慌ただしい。」
「今日、僕は思い切って人間に話しかけてみようと思うんだ。うん、うん、そうしよう!」
「そうだなあ、どうやって近づこうかなあ・・・。」
「そうだ!道端で待ち伏せしてみよう!」
「ほら、きたぞ!自転車の前に飛び出したら止まってくれるだろう。それがいい!いつも僕らには知らんぷりだからな。突然飛び出したら、きっと僕の目を見て止まってくれるさ。」
「よいしょ、よいしょ。飛んでったらびっくりするだろうから・・・。」
「あれ?歩いてたらまにあわなかったよ!なんてこった!笑っちゃうぜ!羽のある僕がわざわざ歩いて近づいてるのに、止まってもくれないなんて!」
僕らはみんな桂川に住む仲間
「ねえ、そこのお兄さん!」
「また行っちゃった!ねえ、僕が話しかけてるのにどうして行っちゃうの?まってくれよ!僕がここにいることが不思議じゃないの?」
「なんてこった!人間ってえのは僕らの事は仲間だとは思っていないんだなあ。目もくれないぜ。つめたいなあ!」
分かってよ、僕のこと
「まあ、いいか。僕の家の赤ん坊の可愛さ。」
「刈り取ったばかりの草の香ばしい香り!」
「いつかきっと話してあげる。僕らはきっとうまくやっていけるさ!うん!」