これは京都に生きる動物たちの物語である。
アオサギは孤独が好きだ。決して仲間同士で群れることがない。
そして、美しい!
「そうかい?それはどうもありがとう。」
いつも一人だけど、さみしくないのかい?
「寂しいことなんかないさ。何故そんなことを聞くんだ?」
どうして一人なのか教えてほしいから。白いコサギなんか、いつも群れているから。
「はっはっは!そうだね。それはね、エサの捕まえ方が違うからさ。」
えっ、どういう風に?
「僕らアオサギは水の中に何時間でも立ったまま、エサがやってくるのを待つんだ。視力がいいから水の中が良く見えるんだ。まあ、気が長いってことでもあるけど。コサギは背が低いし、目も悪いから協力してエサを捕まえるんだよ。」
へえー、そういうことか。すごいんだなあ。でも、アオサギって、こんなこと言っちゃ悪いけど、声がひどいよね。
「それを言っちゃお終いだね。それだけはどうも・・恥ずかしい。このギャーという声は天に二物を与えず、だよね。美しいって言われるだけで十分だ。」
でも、友達や親せきはいるんだろ?
「もちろんだよ。鴨川に僕の兄弟がいるよ。行ってごらんよ。南座の近くの橋の下にいるから。」
ここだ。あっ、いたぞ。あれかもしれない。
「ああ、ぼくだよ。嵐山の兄さんから話は聞いてるよ。アオサギの研究でもしてるのかい?」
ああ、そうなんだ。興味があってね。
「そう、それなら、僕なんかより、もっと凄いアオサギがいるよ。きっと、驚くよ。八坂神社の後ろにある円山公園の池に行ってごらんよ。とても有名なんだ。びっくりするよ、きっと。」
伝説のアオサギ
あ、ここだ、きっと。あ、あれかもしれない。
いたいた!なんか、オーラが違うぞ。羽がふさふさだ!
すごいぞ!
あっ、羽を広げた!歓迎の挨拶か?
えっ?
うわっ!大きな羽だ!
まるで踊っているようだ!なんてきれいなんだ。見入ってしまう!
「わしに何かようかね?」
まさしく、アオサギの長老だ!年齢を尋ねるのもはばかられる。でも、明らかにお爺さんだ。
「わしは円山公園の主だ。うるさいのは嫌いなんだ。またにしてくれ。」